二題
野沢 潔(さいたま市)


a 自然破壊者

 昨年の年間走行距離は6万キロでした。これは3月から始まる山菜採り、きの子狩り、そのオフシ−ズンの釣行と、年間を通し123日の出張(こう呼ばれている)の結果です。そこで皆さんの中には「そんなの自然破壊じゃないか。」との声が挙がって来ると思います。しかし、自然とはそんなに虚弱なものでしょうか。ル−ルを守って採取すれば、山菜もきの子も毎年生えてきます。2例を挙げてみます。
 例1 きの子。奥多摩方面に行く時の保険(と呼んでいます。行けば必ずあるからです)にオシロイシメジの代があります。数年前に素人を同行させた時、根こそぎにされてから、発生が散発になってしまいました。そこで3シ−ズンを休ませたところ、今では林一面に遠くからでも白く目立つまで回復しました。
 例2 たらの芽。秩父山中にある大木(根周り60p、樹高6m程)のタラノキ林では、夏、暗くなるため世代更新しておりません。何年かすれば木の寿命で枯れてしまいます。そこでその木にノコギリを入れ、”ひこ”が2,3本出てきて、生き延び、若木に育ってきました。単純に切ることが自然破壊ではないのです。
 林道を車で走って自然に浸り、自然のものと勘違いし、折角来たのだから(見つけたのだから)と採り尽くしてしまう人がいます。次の人も、又次の人も同じ事をすれば、来年からはきの子も山菜も発生しません。このル−ルを守らない人間がまさしく自然破壊者なのです。


松茸にみる温暖化

 松茸の発生は九州から東北へと北上し、最盛期は逆に南下して来ると聞いたことがあります。この北上の時季のものを私は早松(サマツ)と呼んでいます。私のフィ−ルドでの最盛期は10月初旬ですが、これに先がけての発生があります。この現象は何が原因なのでしょうか。 松茸の代(シロ)は地中にあるので、植物のように気温が直接の原因ではないと思います。地温ではないでしょうか。
 松茸の発生に適した地温があるのでは、と思っています。地温の上昇は北上し、下降は南下して来ると言うサイクルです。つまり松茸の発生は年に2度あると言うことです。事実9月中旬以前に1回発生があり、約1ヶ月後の最盛期の発生へと続きます。この最初の発生(早松)の時期を過去比較してみると「98年9月3日」、「99年8月29日」、「2000年8月19日」と年々早くなっています。これに対し最盛期は10月初旬から中旬へと、同じかむしろ遅くなってきています。これから温かくなるのが年々早くなり、涼しくなるのが遅くなっている、つまり温暖化と言えるのではないでしょうか。
 この様に短期(わずか3年)では、誤差の範疇だと言われれば反論できませんが、松茸と言う自然を通しての私なりの考察です。



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