■美ノ山地区周辺観察会

  開催日:2015年7月26日(日)

  集合場所:県立秩父美の山公園山頂直下の駐車場

  観察地区:県立秩父美の山公園一帯

  参加者:18名

  世話人:大舘一夫、近藤芳明、栗原晴夫

  鑑定人:福島隆一、大館一夫、西田誠之

  報告:栗原晴夫
                                      
          

         開会の挨拶     撮影  富田稔

   
   これから同定     撮影 富田稔      同定会-1     撮影  大舘くみ        同定会-2      撮影  大舘くみ

           イグチ類が多く見られた  撮影 大舘くみ    同定会-3  撮影  大舘くみ         イグチ類の説明    撮影  富田稔


  
   テングタケ属の説明  撮影  富田稔  




美の山観察会報告    2015年7月26日

 例年美の山の観察会は梅雨も明け暑い日の実施となる。当日も関東地方の多くの箇所で35度を超える猛暑日となる予報が出ていた。熊谷では38度の予報であった。ここ美の山は山頂といっても標高は600m程度で秩父盆地の一角だ。暑さを敬遠してか集合時間の9時半を過ぎても10名足らず。開始を少し待って、やっと18名の参加となった。

 毎年この観察会で同行している清水、野沢両氏と今回は頂上付近はやめて車で下り直射光のない所を歩くことにした。中腹にある宿泊施設の少し上に駐車スペースがあり他の車もなく日蔭に駐車することができた。この施設は9月の埼玉フォーレの会場となる同じヘリテイジグループのものだ。森の中はカラカラという状態でもなく、入ってすぐ傘径15cmにもなるシロハツ?が堆積した落ち葉を持ち上げてあちこちに出ていた。目立つタマゴタケ、コガネヤマドリを始め、やはりこの時期らしくイグチ科、テングタケ科、ベニタケ科のキノコが多くみられた。やけに赤いタマゴタケだなと思い近づいてみるとヒイロウラベニイロガワリであった。

 鑑定会では初めに大舘氏がキノコの見分け方、たとえばテングタケとテングタケダマシはイボの形が前者はパッチ状で平ら、後者は尖っている。これは外被膜の質の違いによるものである等、テングタケ科をはじめハラタケ目の似たキノコを比べながら説明してくれた。

 次に西田氏はイグチ目、ベニタケ目にていて解説され、コビチャニガイグチとオリーブニガイグチは似ているが齧ってみると前者は苦くないないが後者は極めて苦い、今日は出てないが似ているオクヤマニガイグチも苦い、皆さんもいろいろ齧ってみてほしい。但し猛毒のカエンタケのように少し齧っただけで苦しみ死に至るようなキノコもあるので注意して下さいとのこと。

 最後に福島氏が専門のキノコの培養の話をされ、「熊谷農高時代には片っ端から培養し五千にものぼる記録があります。培養しているとキノコの本体である菌糸は色や形状、伸び方が違い、人それぞれ個性があるようにキノコの菌相も違うのがわかります。キノコの半分以上は菌根菌で、それら、特にベニタケの仲間等は培養が難しく、またホウキタケ等はうんともすんともいわない。アミガサタケの培養は30年間続けているがなかなか思うようにいかないので、最近は培地のこととかいろいろ発想を大胆に変えて試みている。」と近況も報告された。また今回も採取されたヒノキから出ていたハナビラタケについては遺伝子解析してみるとのことです。

 今回同定された種は64種で、内ハラタケ目が20種、イグチ目18種、ベニタケ目11種、ヒダナシタケ類12種、子嚢菌類3種、また新規確認種は8種でした。

   確認種
  
 
テングタケダマシ   撮影 富田稔        アケボノドクツルタケ   撮影 西田雅之   
  
 
    ツチナメコ     撮影 栗原晴夫          ツチナメコ     撮影  富田稔  
  
  
 サケバタケ   撮影 西田雅之            キアミアシヤマドリタケ   撮影  西田雅之
 
 
コガネヤマドリ   撮影 西田雅之              ヒイロウラベニイロガワリ    撮影  栗原晴夫
 
   ウラグロニガイグチ  撮影 西田雅之  オリーブニガイグチ 撮影 富田稔
 
   ニガイグチ属の一種 撮影 西田雅之  ツチカブリモドキとツチカブリ  撮影 富田稔
 
 サンゴホウキタケ  撮影 富田稔         10年ぶりのハナビラタケ  撮影 富田稔   
 
 アナタケ  撮影 西田雅之            シロキツネノサカズキ  撮影 富田稔

五分類群 新目名 新科名 種 名
ハラタケ類 ハラタケ目 ヒドナンギウム科 カレバキツネタケ
ハラタケ目 キシメジ科 サマツモドキ
ハラタケ目 ポロテレウム科 ヒロヒダタケ
ハラタケ目 ホウライタケ科 オオホウライタケ
ハラタケ目 ホウライタケ科 アミガサホウライタケ
ハラタケ目 テングタケ科 テングタケ
ハラタケ目 テングタケ科 テングタケダマシ
ハラタケ目 テングタケ科 タマゴタケ
ハラタケ目 テングタケ科 アケボノドクツルタケ
ハラタケ目 テングタケ科 コテングタケモドキ
ハラタケ目 テングタケ科 シロテングタケ
ハラタケ目 テングタケ科 ガンタケ
ハラタケ目 テングタケ科 ヘビキノコモドキ
ハラタケ目 ナヨタケ科 ミヤマザラミノヒトヨタケ
ハラタケ目 ナヨタケ科 イタチタケ
ハラタケ目 オキナタケ科 ツチナメコ
ハラタケ目 アセタケ科 シラゲアセタケ
ハラタケ目 アセタケ科 コバヤシアセタケ
ハラタケ目 イッポンシメジ科 キイボカサタケ
ハラタケ目 イッポンシメジ科 ウラベニホテイシメジ
ハラタケ目 イッポンシメジ科 コキイロウラベニタケ
イグチ目 イチョウタケ科 サケバタケ
イグチ目 イグチ科 クロアザアワタケ
イグチ目 イグチ科 イロガワリキヒダタケ 新規
イグチ目 イグチ科 ムラサキヤマドリタケ
イグチ目 イグチ科 キアミアシヤマドリタケ 新規
イグチ目 イグチ科 キアミアシイグチ
イグチ目 イグチ科 コガネヤマドリ
イグチ目 イグチ科 ウラベニイロガワリ
イグチ目 イグチ科 ヒイロウラベニイロガワリ
イグチ目 イグチ科 ウラグロニガイグチ
イグチ目 イグチ科 チャニガイグチ
イグチ目 イグチ科 ニガイグチモドキ
イグチ目 イグチ科 オリーブニガイグチ
イグチ目 イグチ科 クリイロニガイグチ
イグチ目 イグチ科 アイゾメクロイグチ
イグチ目 イグチ科 アカヤマドリ
イグチ目 イグチ科 スミゾメヤマイグチ
ベニタケ目 ベニタケ科 アイバシロハツ
ベニタケ目 ベニタケ科 シロハツモドキ
ベニタケ目 ベニタケ科 クサハツモドキ
ベニタケ目 ベニタケ科 カワリハツ
ベニタケ目 ベニタケ科 アイタケ
ベニタケ目 ベニタケ科 ツチカブリ
ベニタケ目 ベニタケ科 アオゾメツチカブリ
ベニタケ目 ベニタケ科 ツチカブリモドキ 新規
ベニタケ目 ベニタケ科 ヒロハウスズミチチタケ
ベニタケ目 ベニタケ科 アカアシボソチチタケ
ベニタケ目 ベニタケ科 ウズハツ 新規
ヒダナシタケ類 アンズタケ目 アンズタケ科 ベニウスタケ
ラッパタケ目 ラッパタケ科 サンゴホウキタケ 新規
タマチョレイタケ目 ハナビラタケ科 ハナビラタケ
イボタケ目 マツバハリタケ科 ケロウジ
ベニタケ目 ウロコタケ科 チャウロコタケ
ベニタケ目 ウロコタケ科 モミジウロコタケ
タマチョレイタケ目 サルノコシカケ科 アシグロタケ 新規
タマチョレイタケ目 ツガサルノコシカケ科 ホウロクタケ
タマチョレイタケ目 タマチョレイタケ科 ホウネンタケ
タマチョレイタケ目 アナタケ科 アナタケ 新規
タバコウロコタケ目 科未確定 ハカワラタケ
キクラゲ類 アカキクラゲ目 アカキクラゲ科 ニカワホウキタケ
子嚢菌類 チャワンタケ目 ベニチャワンタケ科 シロキツネノサカズキ 新規
ボタンタケ目 トウチュウカソウ科 カメムシタケ
ボタンタケ目 トウチュウカソウ科 オサムシタケ

             以上64種 内新規8種



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